MBO(目標管理制度)とは、マネジメントで有名な経営思想家・ピーター・ドラッカーが提唱した考え方のことです。
今回は、MBO(目標管理制度)について説明していきます。
MBO(目標管理制度)とは
MBO(目標管理制度)は、個人またはグループで目標を設定し、その達成度によって評価を決める評価方法です。
社員一人一人の目標を組織の目標とリンクさせることにより、生産力アップや業績の向上を狙います。
MBO(目標管理制度)の具体的な目標項目は以下の4つです。
- 能力開発目標
- 職務遂行目標
- 業務改善目標
- 業績目標
期間終了後に、自己評価と上長評価をし、課題を明確にした後、次の期間の目標を定めます。
この時定める目標は、「社員自ら設定した、自分にとって望ましい目標」である必要があります。
上司は、社員が設定した目標を組織目標とリンクさせながら、目標達成をサポートしていきます。
目標を設定するときのポイント
MBO(目標管理制度)の目標を設定する場合は、以下の5点を意識しましょう。
- 目標は具体的かつわかりやすく
- 達成目標期間を設定する
- 目標設定のレベルは難しすぎないかつ簡単すぎないものを
- どのように取り組むのか、方法を具体的にする
- 組織戦略と自分の役割をリンクさせる
現状では達成は難しいけれど、工夫すれば達成可能なくらいのレベルの目標を設定し、上司はその目標を達成するためのフォローをすることが大切です。
MBO(目標管理制度)のメリット
MBO(目標管理制度)を導入するメリットは主に以下の3つです。
①評価が容易になる
目標と、その目標を達成したかどうかが明確なので、評価制度に取り入れると評価を容易に行うことができます。
実際にMBO(目標管理制度)を導入している企業も多いです。
②能力開発や向上・育成が期待できる
自分で目標を設定することにより、セルフマネジメント力が高まり成長速度も加速します。
また、今の自分の実力の少し上の目標を設定するため、足りない部分をどう補うか創意工夫をし、自分で考えることにより社員の成長が期待できます。
③モチベーションの向上
強制的に与えられた仕事を黙々とこなすのではなく、自分で決めた目標に向かって努力するため、社員のモチベーションが向上します。
目標を達成すれば「自分は企業にとって必要な人間である」という自信を得ることができますし、自らの裁量で仕事をこなしていくことで自主性が芽生えていきます。
MBO(目標管理制度)のデメリット
MBO(目標管理制度)にはメリットが多くありますが、運用方法を間違えると以下のようなデメリットにもつながります。
①公平な評価をするのが難しい
MBO(目標管理制度)では、社員それぞれが異なる目標を設定します。
部門によっては明確な目標設定が困難な場合もあり、目標管理者の能力も必要です。
主観的な評価になりやすいので、一人ではなく複数人での評価にし、客観性を保証する必要があります。
②目標を低めに設定しがちになる
高評価を得るために目標を低めに設定する社員が出てくる可能性もあります。
目標達成度が給与にも反映される場合が多いため、個人の目標を低く設定し必ず達成できるものにしようとするという傾向が出がちです。
評価を行う際には、達成・未達成だけでなく、設定した目標の難易度も加味しましょう。
③社員のモチベーションが低下する
目標設定をあまりしたことのない社員、目標達成意識が薄い社員のモチベーションはMBO(目標管理制度)の導入により下がってしまいます。
目標設定に慣れていない社員には特に、定期的な面談や進捗を共有するなど上司が達成のフォローをすることでモチベーションの低下を防ぎましょう。
まとめ
MBO(目標管理制度)は、設定した目標の達成度合いで評価を決める制度です。
メリット
・評価が容易になる
・能力開発や向上・育成が期待できる
・モチベーションの向上
デメリット
・公平な評価をするのが難しい
・目標を低めに設定しがちになる
・社員のモチベーションが低下する
上手な運用ができない場合、ただのノルマ管理ツールになってしまう可能性も高いです。
組織全体でMBO(目標管理制度)への理解を深め、メリット・デメリットをよく理解して運用しましょう。