給与から所得税と一緒になって天引きされていることが多い住民税。
社員が入社・退社する場面では、いくつかの説明や手続きが必要なため、しっかりと理解しておくことが大切です。
今回は、住民税について知っておきたい納付方法などの基礎知識をお伝えします。
住民税とは?
住民税とは、都道府県が徴収する都道府県民税と市町村が徴収する市町村民税の総称のことで、前年度の収入に対してかかる税金です。
よくセットとして考えられる所得税は、国に治める税金で、当年度の収入に対してかかります。
そのため、新卒社員は所得税は徴収されますが住民税は1年目なので徴収されません。
昇給しても2年目から住民税も徴収されるため、「給料が増えたのに手取りが減った」ということもあります。
また、もし退職して無職になった場合でも、前年度の収入があれば住民税を納税しなければなりませんので注意しましょう。
住民税の納税対象者は?
まず、住民税の納税対象者についてみていきましょう。
住民税の納税義務があるのは以下の人です。
- 会社員、個人事業主、前年度に収入のあった無職の人
- 1月1日時点で市町村に住所がある、または1月1日時点で市町村に住所はないが事務所や家屋敷がある人
反対に、以下の人には納税義務がありません。
- 生活保護受給者
- 障がい者
- 未成年者
- 寡婦または寡夫
- 前年の所得が125万円以下の人
- 合計所得金額が市町村の定める金額以下の人
そのため、失業中の人や、退職して専業主婦になった人、亡くなった人、学生やフリーターでアルバイトを掛け持ちしている人も納税対象になる可能性があります。
住民税が決定する流れ
会社員と個人事業主、無職の人では住民税の決定の流れが異なります。
会社員(☆1)
- 1月~3月
会社から市町村に対して給与支払報告書を送付 - 4月~5月
納税額が決定したら(☆2)市町村から会社へ決定額通知書と納付書が郵送されてくる - 6月~5月
原則毎月の給与から天引き(☆3)
個人事業主、無職の人
- 1月~3月
個人で確定申告を行う
報告書の住民税に関する項目を記入 - 4月~5月
納税額が決定したら、市町村から個人へ決定通知書と納付書が郵送される - 5月~6月
一括納付か年4回にわけて納付(☆4)
(☆1)会社員でも給与所得以外に収入がある場合は確定申告が必要
(☆2)納税額は各市町村が計算
(☆3)給与から天引きされることを特別徴収という
(☆4)直接納付することを普通徴収という
住民税の納付方法
会社は、社員の給与から住民税をいくら天引きしているかを把握するために、社員の住民税控除一覧表を必ず作っておきましょう。
各市町村から納税額決定通知書が送られてくるため、会社で作った住民税控除一覧表と合っているかを確認します。
その後、住民税を市町村ごとにまとめて金融機関に支払います。
個人事業主の場合、納付書が個人に送られてきます。
届いたらコンビニや金融機関で支払いましょう。
もし納付額が不足していたりすると、市町村から督促状が送付されたり遅延金が発生したりすることがありますので注意してください。