ホワイト企業に求められる10個の条件

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インターネットやSNSの普及などから、情報をすぐに調べたり拡散することができるため、ブラック企業の問題が世に出やすくなりました。
大切な人材を失うだけでなく、企業イメージなどにもかかわるため、多くの企業が、ホワイト企業になるために試行錯誤しています。
しかし、どうしたらいいのかわからずになかなか行動に移せないことも。

では、ホワイト企業になるためには、何が求められるのでしょうか。

ホワイト企業の条件とは

大企業=ホワイト企業と思われることが多いですが、中小企業にもホワイト企業はもちろんあります。
企業の大小にかかわらず、下記の条件を満たしている企業がホワイト企業といえるでしょう。

①離職率が低い

離職率は、ホワイト起業かブラック起業かの判断材料とされることが多いです。
社員にとっていい環境であれば定着率が上がり、その結果離職率が下がるという考えから、離職率が高い=ブラック企業と考えられます。

離職率は一般的に、直近三年で
退職した社員数÷入社した社員の総数
で算出されることが多く、日本での平均離職率はおよそ三割と言われています。

離職率が何割以下ならホワイト企業、という明確な基準はありません。
ホワイト企業を目指すならば、平均よりも低い数値を目指すといいでしょう。

また、離職率が高くてもホワイト企業の場合もあります。
産休や育休など、一時的に仕事を休んでいる社員も離職者に含んでいる場合、離職率=退職者ではなくなります。
離職率を見る際は、あくまで条件のうちの一つとしてとらえ、数値だけでなく男女比率も見ることをおすすめします。

②ワークライフバランスの実現が可能

働くだけでなく、生活の充実度も重要だと考える人が多い現在、ワークライフバランスの実現を求める人も少なくありません。
ホワイト企業と呼ばれる企業は、フレックス制を取り入れる、家族との時間をとるための休暇制度を導入する、残業時間や休日出勤を減らすために仕事の効率化をはかるなどの施策をとっています。

ほかにも、有休消化率の向上や産休・育休の活用など、様々なライフスタイルに対応する働き方を取り入れています。

③福利厚生が充実している

福利厚生には、法定福利と法定外福利の二つがあります。
法定福利は社会保険や労働保険など、法律によって実施が義務付けられているものです。
一方法定外福利は、企業が独自に取り入れているものであり、例えば住宅手当や社員食堂などがあります。

法定外福利をどれだけ設けるかは各企業の裁量に任されているため、まったくないという企業も存在します。
法定外福利が充実しているとホワイト企業という印象を持たれやすく、福利厚生を重視して転職先を選ぶという人も増えているため、積極的にアピールすると効果的でしょう。

④公平な人事制度がある

社員のモチベーションを保つためにも、公平な人事制度は必要不可欠です。
多くのブラック企業は、人事評価が好き嫌いや数字で見える成果のみで判断されます。

社員の成果がしっかりと昇給や昇格につながる人事制度を確立しなければ、ホワイト企業とは言えません。

⑤女性も働きやすい環境

男性と女性で昇進・昇給の早さや、任される仕事が違うなど、差が出ている企業はホワイト企業とは言えません。

ホワイト企業では、社員の男女比率のバランスが良く、産休・育休から復帰する女性も多いです。
また、管理職の比率も男女で平等にしていくことや女性管理職の活躍を目標とすることもホワイト企業にとっては必須です。

⑥コンプライアンス意識が高い

コンプライアンスとは、法令遵守のことです。
労働基準法や税法などの基準を守るだけでなく、社会通念や道徳意識の高さも含まれます。

ブラック企業では、このコンプライアンスに対する意識が非常に低く、社員に守らせようともしていません。
ホワイト企業を目指すうえで、社員のコンプライス教育に力を入れることは重要だといえるでしょう。

⑦基本給が高い

基本給が高いこともホワイト企業の条件の一つとしてあげることができます。
給与が高い場合でも、残業代などを含めている場合があるため、給与が高い=ホワイト企業と一概にいうことはできません。

この場合、もし業績が悪化した時に人件費削減のためにまず賞与や残業代を支払わない可能性があります。

基本給が低く賞与や残業代を前提として考えていると、いざカットされたときに大打撃です。
そのため、基本給を上げることによる給与の高さをアピールすることが、ホワイト化を目指していることのアピールにもつながります。

⑧残業代が支払われる

ホワイト企業にも残業はあります。
つまり、残業があること自体はブラックではなく、残業代が支払われないことがブラックなのです。
ホワイト企業では、基本的にサービス残業はしません。
所定の労働時間を超えて働いた時間に対し、正確な残業代が支払われます。

例えば、15分単位や30分単位で残業代を支払っている場合、その時間に満たない残業時間は切り捨てられてしまうことがあります。
その場合、切り捨てられてしまった時間はサービス残業扱いとなり、労働に対して正確な報酬を支払っているとは言えません。
ホワイト企業は、本来のルールに従い1分単位で給与の計算をしています。

⑨研修に力を入れている

ホワイト企業は人を大切にするため、社員の教育にも熱心です。
入社時研修はもちろんのこと、入社後も継続的に研修が行われます。

一方、ブラック企業は社員ぞ使い捨てにするため、研修にはほとんど力を入れません。
すぐに利益や結果が出ない社員研修に力を入れているということは、社員を長期的な目で見て育てていこうとしているといえるでしょう。

⑩将来性がある

業績がいいこと、企業が発展していくポテンシャルがあることも、ホワイト企業としての大切な条件の一つです。
先に挙げた基本給の高さや福利厚生の充実も、継続するには費用が掛かります。

従業員満足度やモチベーションを維持するためにも、成長し利益を上げていくことがホワイト企業には求められます。

求職者がチェックするポイント3つ

次に、求職者がホワイト企業かどうかを判断するときによく見るポイントをご紹介します。

①ホワイトマーク認定

ホワイトマーク認定とは、厚生労働省が平成27年から導入している、働いている人たちの健康と安全を守るための施策を積極的に行っていると認められた企業を公表する制度です。
過重労働やメンタルヘルスなど、約80項目の基準をクリアした企業だけが、3年間ホワイト企業として認定されます。

認定を受けると、認定マークを商品やwebサイト、広告などにつけることができ、ブランドイメージの向上につながります。
求職者だけでなく、取引先や顧客にも優良企業であるとアピールすることが可能です。

また、働いている社員もホワイト企業で働いているという意識が芽生え、モチベーションの向上や職場の雰囲気が良くなるという効果も期待できます。

②決算資料

企業は四半期ごとに決算発表を行い、その結果をwebサイトなどに公開する義務があります。

この決算資料は、経営の健康状態や財務状態、将来性を知る重要な手掛かりになります。
営業利益だけでなく、経常利益やキャッシュフロー、中期経営計画も求職者はチェックしています。

③メディア情報

例えば就職四季報や東洋経済が発表している「3年内離職率」など、第三者であるメディアの視点から得られる情報もホワイト企業かどうかを判断するためのポイントの一つです。

ここでのコメントがポジティブなものであれば、求職者の選考を受けたいという意欲も高まるでしょう。

大切なのは社員を大切に思う姿勢

ホワイト企業の条件やチェックされるポイントを見てきましたが、いかがでしょうか。
すぐにすべてをクリアするのは難しいかもしれませんが、共通して大切なのは社員を大切に思う姿勢です。
まずは自社でなにが手軽にできそうなのかを検討し、取り組みやすいものから取り組んでいきましょう。

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