知っておきたい基礎知識 育児休業給付金について

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女性の活躍が推奨されている現在、育休・産休を取り復職を望む女性も増えているのではないでしょうか。
育休・産休には手続きが必要なこともありますが、苦手意識を持たずスムーズに処理できるようにしておきたいところです。

育休・産休に関わる手続きは以下の記事を参考にしてください。
【従業員が妊娠・出産!必要な手続きチェックリスト】

今回は、その中の一つの育児休業給付金の制度や申請方法についてお伝えします。

育児休業給付金とは

育児休業とは、「子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業」のことです。
平成3年に制定された「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」)によって定められています。

育児休業中に一定の条件を満たしている場合に、申請すると国からもらえる給付金のことを育児休業給付金といいます。

育休手当として会社からもらえるものと勘違いしている人も多いですが、雇用保険によって国から給付されるものなので、条件を満たしている全員が等しくもらう権利を持つものです。

もらえる金額とタイミング

育児休業給付金とは何かがわかったところで、次に一番気になるのは、もらえる金額とタイミングですよね。
それぞれみていきましょう。

もらえる金額

育児休業給付金の支給額は、育児休業開始前の給与をもとに決まります。
1カ月あたりにもらえる給付金の計算は、
労働者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%
(子供が生まれて6ヶ月経過後は50%)
となります。

育児休業開始時賃金日額とは、事業主の提出する「休業開始時賃金月額証明書」にある金額の休業開始前の6カ月の賃金を180(6カ月×30日)で割った金額です。

この日額と育児休業を取った日数をかけて67%にした金額が1カ月当たりの育児休業給付金となります。

支給のタイミング

育児休業給付金の手続きは、生まれてから1~2カ月以内に行います。
産後8週間は産休中となるので育児休業期間には含まれず、その後2カ月ごとに支給されます。

産休中は、会社の健康保険に加入している方人出産手当金を健康保険組合からもらうことができます。
しかし、育児休業給付金は出産して手続きしてから少なくとも3カ月程度給付されるまで時間がかかるので注意しましょう。

受給条件

次に、育児休業給付金の受給条件を見ていきましょう。

1歳未満の子どもがいること

育児休業給付金は、原則1歳未満の子どもがいる場合に支給されます。
支給対象期間の延長に該当する場合、1歳6か月または2歳まで受給することができます。

雇用保険に加入していること

企業に勤めている人はおそらく問題ないと思いますが、自営業や経営者はその対象ではなくなりますので注意しましょう。

育児休業開始日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あること

育児休業を開始する前に2年間以上正社員で働いていれば、多くの場合問題ありません。
パートタイムや契約社員の人は勤務状況をよく確認し申請しましょう。

あとから条件となる日数が足りないことに気づいても取り戻すのは困難なため、働く際の条件としてよく確認しておく必要があります。

育児休業期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていないこと

育児休業期間中には、期間前の賃金の8割以上をもらってはいけないということです。
反対に、育児休業期間中に育児休業給付金を受け取っていたとしても、まったく賃金を受け取ってはいけないということではありません。

育児休業期間中に就業している日数が各1ヶ月に10日以下であること

育児休業期間中であっても、条件内であれば働くことはできます。

育児休業給付金対象外の人

以下の人は、育児休業給付金の受給対象外です。

  • 経営者
  • 自営業者
  • 就職して1年未満の人
  • 被保険者期間が満たされていない人

育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金を受給するためには、いくつかの申請書類を用意する必要があります。
希望すれば個人でも申請可能ですが、多くの場合は雇用者が行います。
担当者は、申請方法をしっかりとおさえておきましょう。

企業が用意するもの

企業が用意するものは以下の書類です。

  • 「休業開始時賃金月額証明書」
  • 「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」は、管轄するハローワークにて交付してもらえます。
また、本人自ら申請するのでない場合、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出することで、同時に育児休業給付金の初回支給申請を併せて行うこともできます。
この場合、貸金台帳出勤簿などの記載内容を証明するものが必要です。

また、本人記入欄がありますので、マイナンバーや受取口座、母子手帳の写しの用意を本人に依頼しておきましょう。

申請の流れ

以下が、初回の申請手続きです。

  1. 育児休業給付金を受給する従業員が会社に育児休業の申請をする
  2. 企業側が管轄のハローワークに書類申請を行う
  3. 「育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書」を従業員が記入、母子健康手帳の写しを会社に提出
  4. 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書・休業開始時賃金月額証明書と添付書類として賃金台帳または出勤簿母子健康の写しを管轄のハローワークに提出する

2回目以降は2カ月に1度育児休業給付金支給申請書を提出して給付金を受け取ります。

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