社会保険とは、国民が老後を安心して過ごせるように制定された公的保証制度のことです。
毎月決められた保険料を支払うことで、医療費負担や老後の年金を保証する制度です。
今回は、人事担当者として知っておきたい社会保険の基礎知識をお伝えします。
社会保険の仕組み・制度
一般的に、会社で働き始めたときに加入する社会保険。
健康保険、厚生年金、介護保険に入ることで社会保険に加入したとみなされます。
社会保険は従業員が入社したら自動的に加入するもので、会社と折半し、従業員の給料から天引きされます。
会社に常時使用(会社で働き対価として給与や報酬を得る関係)されている従業員は社会保険に加入する必要があります。
正社員や役員だけでなくパート・アルバイトでも正社員の4分の3以上の勤務時間・勤務日数を働いていれば、社会保険の対象です。
また、法改正により平成28年10月から従業員が501人以上の会社で働く方にも加入対象になりました。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 1カ月当たりの決まった賃金が88,000円以上(残業代・賞与・交通費は含めない)
- 雇用期間が1年以上
- 学生でない労働者(通信・夜間・定時制の学生は対象に含まれる)
そして、平成29年4月からは従業員が500人以下の会社でも上記の同じ条件を満たしている場合、社会保険に加入できるようになりました。
社会保険の種類
「社会保険」という場合、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険(労働者災害補償保険)をまとめて指すことが多いです。
また、入社すると加入が必須になる医療保険、年金保険、介護保険だけを意味することもあります。
この3つを「狭義の社会保険」といい、残りの2つである雇用保険、労災保険を足すと「広義の社会保険」といわれています。
医療保険
怪我、病気、出産、死亡を保障するものであり、会社で加入している場合、健康保険証を発行します。
また、業務外の疾病や、産前産後休業中に賃金が支払われなかったときに給付を受けることができます。
他にも、出産一時金(42万円)、埋葬費(5万円)も補償対象です。
年金保険
老齢年金・遺族年金・障害年金で構成されているのが年金保険です。
会社と折半で老後の年金を積み立てることにより、全国民対象の基礎年金に加え65歳からの老後も追加で年金を受け取ることができます。
遺族年金は、加入途中で死亡してしまった場合に支給され、障害年金は一定の怪我や後遺障害を負った場合に支給されます。
介護保険
介護保険は、40歳以上の人に対して加入が義務付けられています。
高齢者・要介護者向けの保険で、市町村から介護認定を受けた場合、介護サービスを受けることができます。
居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスにわかれており、1~3割の自己負担でこれらのサービスを受けることができます。
雇用保険
従業員の雇用安定・促進のための保険です。
失業手当や、就業支援のためのアドバイスを受けられるなどが当てはまります。
加入期間が1年ないし半年あれば受給可能です。
失業手当を受け取っている間はアルバイトなどに制限がかかりますが、一定の収入があるため期間中は再就職のために活動しやすくなります。
労災保険(労働者災害補償保険)
通勤中や勤務中の災害・事故によって生じた病気、怪我、死亡に対して補償がでます。
従業員が早く復帰できるように、治療費の自己負担がないよう障害一時金が支給されます。
従業員が死亡した場合、本来その従業員が受け取るはずだった給与から試算された遺族年金も支給されます。
社会保険の動向はチェックしておこう
このように、社会保険は5種類の保険制度から構成され、老後や病気、自己、怪我に備えることができる制度です。
社会保険制度も時代に沿って変化することがありますし、会社を取り巻く環境も刻々と変わっていくと思います。
社会保険のことをしっかりと把握し、制度設計をしていきましょう。