フレックスタイム制とは?残業や労働時間の計算はどうなる?

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フレックスタイム制とは、社員が出社・退社時間を自由に決められる制度のことです。
そのため、子どもの送り迎えをしたり、通勤ラッシュを避けたりなど、社員のライフスタイルに柔軟に対応することができる自由な働き方を可能にします。
今回は、フレックスタイム制について詳しくご紹介します。

フレックスタイム制には2種類の時間定義がある

フレックスタイム制には、以下の二種類の時間定義があります。

1.コアタイム

1日の中で必ず出勤していなければならない時間のことです。
会議や外部との取引が多い時間帯に主に設けられています。

2.フレキシブルタイム

出勤するもしないも自由な時間帯のことです。
コアタイムの前後に必ず設ける必要があり、社員は自分の生活スタイルに合わせて働くことができます。

また、コアタイムがなく、すべてがフレキシブルタイムの完全フレックス制も可能です。

清算期間と労働時間

フレックスタイム制では、労働時間の清算を一日単位ではなく、清算期間単位で行います。
清算期間は1カ月や1週間など設定が可能です。

企業は、清算期間における総労働時間(清算期間内での社員の労働時間)と、最大労働時間を定める必要があります。
法定労働時間を超えた総労働時間を設定することはできません。

法定労働時間を求める計算式

下記の計算式で、法定労働時間を求めることができます。

法定労働時間(総枠)=1週の法定労働時間×精算期間における暦日数÷7

残業代や労働時間の計算について

では、残業時間や労働時間が不足した場合はどう計算したらいいでしょうか?

残業時間

フレックスタイム制における残業時間とは、清算期間内で総労働時間が超過した分を指します。
超過分が法定労働時間内の場合、法定残業時間内残業となり、法定労働時間を超えた分は法定時間外残業の対象となります。

そのため、総労働時間を超えた分は残業代として支払う必要があります。
超過した時間を次の精算期間に繰り越すことはできないため、必ず当月中に残業代として清算してください。

総労働時間が不足した場合

もし精算期間内でのでの労働時間が不足した場合、以下の2つの調整方法があります。

1.不足分を翌月に繰り越す

不足した労働時間を、翌月に繰り越すことによって調整することができます。
例えば、今月5時間不足した場合、翌月の総労働時間に5時間労働時間を追加するというようにすれば良いのです。
この場合、実際の労働時間は不足していますが、精算期間内の総労働時間分の給料を支払う必要があります。

しかし、繰り越せる時間は、翌月における労働時間の合計が法定労働時間内までと規定されています。

2.不足分の給料をカットする

もし法定労働時間を超過する場合は、労働時間不足分の給料をカットすることで調整します。
例えば、今月の労働時間が5時間足りていない場合、給料も5時間分削減することで調整します。

有給休暇について

清算期間内における総労働時間を決定する際に、標準となる1日の労働時間を規定する必要があります。
社員が有給休暇を取得した場合、その標準となる1日の労働時間分の労働をしたものと計上します。

誤解を招かないために

フレックスタイム制の計算方法は、どうしても大変になってくることがあります。
社員にもフレックスタイム制のことをしっかりと理解してもらえないと、「残業代が支払われない!」などの誤解につながる可能性があります。
その時は、計算式を社員に教え、フレックスタイム制について理解してもらえるようにしたり、勤怠管理ツールを使用しより社員にもわかりやすくするなどの工夫をしていきましょう。

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